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人が育つ過程は、まるで「ヨウ素時計反応」のようだ

159号2014/10/21更新

■おはようございます。紀藤です。

週末は「そして父になる」
という映画を見に行ってきました。

福山雅治さん主演の、
昭和40年代に頻発した「子供の取り違え」に関わるテーマで、
カンヌ映画祭の審査員賞を受賞した映画です。

自分の子供を育てるにあたって、

「血を選ぶのか、
 それとも、共に過ごした時間を選ぶのか」

という非常に考えさせられるいい映画でした。
よろしければぜひ。

今日はそんな内容に少し関連した、

私の考える「教育」について、
思うことを共有いたします。
(少し長いので、お時間があればお読みください)


■皆様は「時計反応」という化学の実験をご存知でしょうか。

正式な名前は「ヨウ素時計反応」といい、

「化学反応から、一定時間が経過したのち、
 一気に色が変わる(目に見える変化が起こる)」
という面白い実験です。

2つの無色透明の液体を混合すると、
最初は目に見える反応は起こりません。

しかし、一定時間経過してから、
混合液体が突然深青色に変化します。


■この実験のからくりは、

「目に見えないところで、
 色が変わるための2つの反応が同時に起こっている」
「そのために一定時間が必要である」
というのが、ポイントだそうです。

実験の内容を整理すると、

1、〇〇と△△が反応すると、色が変わる。
2、実験を始めた直後は、〇〇はあるが、△△はまだ存在しない。
3、しかし、見えないところで■■と××が反応して△△が少しずつできている。
4、そして△△が一定量、出来上がると、〇〇と△△の反応が一気に始まる。
5、その結果、がらりと色が変わる。

というステップを踏むそうです。


■この話を聞いて、私は

「人が育つプロセスとは、時計反応のようだなあ」
と思わずにはいられませんでした。

私は、教育プログラムを提供しています。
そして必ずと言っていいほど
よく議題にあがるテーマがあります。

それは、

「この教育の成果は、いつでるのか」、
というテーマです。

確かに、費用と時間を投資した研修において、
実際に何人中、何人が変わった、とか
費用対効果はどれくらいなのか、
というのはとても重要な要素だと思います。

ですが、同時に、

「人が育つためには、時間が必要である」
ということも、念頭に入れなければいけないのではないか、
と思うのです。


■人には「変化のタイミング」というものがあります。

例えば研修で、大切なメッセージを受け取ったとします。

・コミュンケーションの方法
・自分から動く大切さ
・目標を持つ意味
・愚痴を言わないほうが良い理由
・人の話を聞くポイント

など、色々あるでしょう。

研修で、「なるほど、取り入れてみよう」という
良い反応があったとしても、

「大切だということはすごくわかった。
 でも、なかなかできない・・・」

という状態の人がほとんどになるでしょう。

そして、この状態を
「変わってない」と思いがちですが、
考え方を変えれば、当たり前なことにも思います。

なぜならば、

「実行するための練習量」

が足りていないわけですから。

トレーニングで
「大切なことがわかった」(気付き) 
後には、「実行する」ための
スキルを磨く時間が必要になるのではないでしょうか。


■これは、上記の化学の実験で表現するならば、

3、しかし、見えないところで■■と××が反応して△△が少しずつできている。

という段階でしょう。

「〇〇が大切だ、とわかっている。でも、できない」(=葛藤)
「頭ではわかる、きっとそうなんだろうと思う。でもまだ納得ができない」(=葛藤)

こんな思いがあり、意識をし続けていることができれば、
すぐに行動には出ないとしても、
「3」のプロセスのように、
目には見えない化学反応が着々と進んでいる、
と言えるのではないか、と思うのです。


■そして、仕事の経験、失敗などを通して、

「もやもやが、電気が走ったように、一本につながる」
「言っている意味が、本当の意味でわかった」

というように、すぐに変わらなかった人が

「4、一気に反応が始まる」という化学反応が起こり、その結果、
「5、がらりと色が変わる」

というように表面の変化にも現れてくるのではないでしょうか。

そしてこのタイミングは、人によってまちまちなのでしょう。


■もちろん、「お前のやり方は違う!」と
外からの力を強く加えて、行動変容をさせることもできますし、
場合によってはそれが効果的なこともあると思います。

ですが、一時的ではなく、
人が根本から変わるためには、

「自ら気が付くこと」

が必要なのではないか、と思ってやみません。

「7つの習慣」では、これをSee-Do-Getサイクルという、
「原則」としてお伝えしています。

これは、物事の見方(パラダイム)が変わると、
行動が変わり、行動が変わると、結果が変わる、
というサイクルを表現した言葉です。

著者のコヴィー博士はこういいます。

”大きな変化を望むなら、パラダイムを変えねばならない”


■「変わってくれ」、といって、
誰かが変わってくれれば苦労ありませんが、
一瞬で人が変わるようなトレーニングは、残念ながらありません。

もしそんな簡単に変わるのであれば、
誰もがそれを試して、みんな変わっているはず。

最も身近な人すら変えられない日常を考えれば、
教育の難しさは、よくわかるはず。
(私も「目標が大切だ!」と熱く家族に語っても、
 なかなか変わることはありません…汗)


■人が育つのは、「時計反応」と同じようなもの。

見えない部分で、少しずつ変化は起きている。

時間がかかるかもしれないけれど、
一定量の学習や練習量を投入した時に、
目に見える「変化」として表れてくる。

そんな考えを前提として、

・人の成長を「見えないところで変化は起こっているはず」と信じること。
・そのための、最良の「学びの機会」を、場を与えること。
・反応を継続させるために、学び続ける仕組みを作ること。

を、教育の役割だと捉えてみると、新しい気付きがあるかもしれません。


■そして、変わりたくても変われない自分自身に対しても、

「今は、時計反応の最中だ。
 そのうち、一気に変わる瞬間がくるはず」

と考えると気持ちが楽になり、もうひと踏ん張りできるのではないでしょうか。

一つの考えとしてご参考になれば幸いです。

朝から長文にお目通し頂き、ありがとうございました。


■今日のお話は、

・「時計反応」という化学の実験がある。
 これは、目に見える変化があるために一定時間が必要という実験。

・「人が育つ」ということも同様なことが言えるのではないか。

・気付きをトレーニングで提供しても、それが形に出るためには、
 「意識をした回数」「行動しようとした練習量」など、時間が必要。

・人を育てるにあたっても、「目に見えない変化」を意識して、
 長い視点で教育の場を提供してみてはどうか。
 変わるまでにタイムラグがある、と自分自身と人の成長を見守ってはどうか。

という内容でした。


今日も皆様にとって良い一日になりますように。
【本日の名言】
もしも人に劇的な変化を求めているのであれば、
まずその人の物事に対する「見方」を変える必要がある。
劇的な変化を「得る」ためには、まず「見方」を変える必要がある。

           スティーブン・R・コヴィー

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